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[コメント] 家族ゲーム(1983/日)

今や安定路線をひた走っている森田監督もこのころは暴走してたんですね。この作品の場合は松田優作という人物に引きずられたためだったのかも?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 正直小説の方は良く分からなかった。優等生の兄の目で見た家族について書かれているのだが、とぼけた吉本のお陰でどんどん成績が良くなる劣等生の弟と、徐々におかしくなっていく自分自身について書かれていたというのは記憶にあるのだが(なんせ読んだのが中学生の時だったし…でもこれだけ印象に残ってたんだな)。その後のTVシリーズの方は明快なコメディ調で楽しかった(今調べて分かったのだが、あのクソガキ、松田洋治だったんだね)。

 それで映画版だが…テレビ版とも原作とも又変わった作品で、とても実験的な作品に仕上がっている。特にカメラアングルの凝り方は偏狭的とも言えるほどで、おおよそ現実とも、これまでの映画の手法とも完全に異なったアングルの取り方は大変面白い。四人家族が食事をとるのに、テーブルを囲むのではなく、一列に並んで食事を取ったり、ヘッドフォンで音楽を聴いているシーンではレコードジャケットを見せるだけで音を流さないなど、そう言った演出が多用。ラストシーンでまっ赤な夕焼けの中、シルエットだけでぽつりぽつりと話す会話シーンも印象に残る。ちょっと目がちかちかするような所もあったが、こういう実験は大好きだ。

 キャスティングも面白い。特に松田優作はこの作品に限っては、はっきり言って「むさくるしい」と言うレベルだし、全くなんの脈絡もなくキレるし、おおよそ教師に最も似つかわしくない存在なのだが、そう言う型破りな役を演じる事によって逆に松田優作はこの作品を自分の作品にしてしまった感じがする。周囲のキャストの抑え気味な演技がますますその存在感を際だたせていた。

 ただ物語自体は小説版に沿ってる癖に主人公のウェイトが明らかに松田優作の方を向いているため、ちょっとちぐはぐな感じになってきた事は否めず。今になって考えるとバランスが無茶苦茶。一種のカルトムービーなんだろうな。

 後にどんどん安定度を増していく森田監督にもこんな時代があったんだね…あるいは、だけど、

(評価:★3)

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