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[コメント] ノーライフキング(1989/日)

原作とテーマが違う部分に肩透かしをくらう。
しど

映画と原作を比べるのはルール違反だが、少なくともテーマだけでも汲み取って欲しいと思うがどうだろう。映画「ノーライフキング」自体は、どうってことのない映画なのだが、テレビで答えた監督の「子供達にリアルを見せたかった」というコメントで、「こりゃダメだ」と思ってしまった。原作は、「リアル感を失った子供達は、ゲームの中でのリアル感によって生きる術を覚え、ゲームの世界を現実社会に転化することで、現実を生き抜く」という、現実がフィクション化しつつあったバブル期における子供達の悲鳴とその救いがテーマだったし、いとうせいこう自身もいろんな所で同様にコメントしていたのに、原作の中で否定された大人の意見、「子供は現実を知らないからゲームに逃げ込む」という前提で映画を作られているのだから、笑ってしまった。「会社物語」欄に書いた市川準映画の嫌いな理由とともに、こうしたテーマの読み違いを念頭に置いて市川作品を見ると、同様な失敗を重ねていることが明白なので、市川作品はあまり他人には薦めない。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)たかやまひろふみ

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