[コメント] 遥かな時代の階段を(1994/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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一度見てたはずなのに、話を全く覚えてないから不思議だったけど、 最初に見た時は、きっと途中で寝たんだろう。 もう、「いつ終わるんだこの映画」って、 芸術映画を見ているような苦痛を味わいましたよ。
でさ、最初はスタイルを楽しむ映画なのかと思ってたら、 なんか、自己主張も多くてさ・・・・何これ?って。 前回は、☆三つだが、今回は、☆一つだ。 で、☆一つの場合は、オチも含めて検証してみる。
前回は白黒だけど、なぜか今回はカラー作品になってた。 映画全体が、カラー作品らしくとってもカラフル。 ちなみに日本映画の初カラー作品っつうと、「カルメン故郷に帰る」だが、 この映画も同様に、ストリッパーが横浜に帰って来る。 何か意識してたんだろうか。 で、話の中心になる街の影のボスが「伝説の白い男」。 その白い男の子分が「赤ずくめのファッション」で、 男に敵対する新興勢力のヤクザが選挙に出ると、ポスターは「青」。 ラストで赤いダルマの白い目に「黒目」を入れる。 白い部分を黒で塗りつぶす訳だ。 この色調はもう一回出てくる。 地図上の赤に囲まれた白い川の部分を「黒」で塗りつぶすんだけど、 悪=黒、黒く塗りつぶせって意味だろうか?知らないけど。 (整合性を持たせるなら、ポスターを黒にするか、塗りを「青」にすべき) きっと、いろいろ、色とりどりな色に意味とかあるんだろう。 知りたくないけど。
物語は、マイクの両親の話と街の勢力の話がからむ。 舞台の「川周辺」は「伝説の白い男」が支配していて、 警察もやくざも手出しできない縄張り。 川周辺の住民と「白い男」とは運命共同体のように一枚岩、っぽい。 だって、戦後、その辺りのヤクザを「一晩」で片付けた伝説の「白い男」は、 GHQと裏取引をしたらしいって伝説もあって、 強力な力を持ってるし、住民も逆らわない。 そこに、刑事が逆らって、川の秩序を壊そうとして、 川辺で泥棒をしている女の証拠を掴め、 って、マイクに依頼、っつか脅してやらせる。 で、その「女泥棒」は、マイクの妹の友達のお母さん。 マイクったら、簡単に妹を裏切るんだ(笑)。 (一応、「妹のことがどうなってもいいのか?」って脅されたからだけど) でもって、泥棒の現場を写真に撮ったりしてるうちに、 「白い男」の勢力が、その動きに感ずいて、 「白い男」一派は、なぜか、その「女泥棒」を殺す。 「川の秘密がばれそうになった罰だ」だって(笑)。 住民達を、全然守ってないの。 おまけに、マイクに依頼した刑事を仲間に引き込むし。 ところで、その「女泥棒=妹の友達の母」が死ぬ原因になったのは、 誰あろう、マイクがそんな仕事を引き受けたからに過ぎない。 なのにさ、マイクったら、「白い男が許せない」だって。 許せないのはお前だよ。
そこに、例の「戻って来たストリッパー」が絡むんだけど、 これがマイクの母って設定。 えらい唐突だな・・・・・。 で、マイクが白い男を殺しに行こうとしてるところに、母が告白するんだ。 「白い男はお前の父親だ」だって。 まあ、何となく、読めそうな展開ではあるけど、 逆に「当たり前過ぎて意外だったよ」、「まんまと裏をかかれたよ」って。けっ。
さて、いよいよクライマックス。 何かタイムスリップしながら白い男に会いに行くマイク。 途中で、白の子分、赤が迎えに来てるんだ、「ボスに頼まれた」って。 でさ、いきなり白い男に銃を向けるマイクなんだけど、撃てないんだ。 そりゃそうだよな、「親父」に銃は向けられない。 で、そんな「ヘタレぶり」に「白い男」も「親父面」で対抗する。 なぜか、二人でロシアンルーレット開始。 「よーし、パパ頑張って息子に挑戦しちゃうぞ!(運まかせだけど)」な雰囲気が・・・。 で、少し緊張してきたぞー、って思ってたらさ、 あっけなく、「新興勢力青」の子分が「白」を殺しちゃうの。 「伝説の白い男」って何が伝説なんだか・・・・むちゃ弱いじゃねえか・・・。
で、そんな騒ぎは一夜去ると忘れ去られてて、 最後はさ、マイクの母が立場を偽って妹と遊びに行く。 マイクは母を知ってるけど、妹は知らないんだね。 別れの際に妹を強く抱きしめる母、うーん、涙出ちゃうよ、あくびで。 ちうか、母は、昔の男「白い男」が死んでも何のリアクションも無い。 マイクも無かったけどさ。 うん、こいつら、人間性が欠如してる。 さすが、家庭崩壊した「ドキュソ」な家族だけあるな。
さて、退屈しながら見ていて、この映画の欠陥に気付いた。 って、第一作の欠陥を確信しただけなんだけどさ。 「昭和レトロ」の「パロディ」だってのは前回書いたけども、 今回のは、加えて「学生映画」なんだ。 前回の「レトルトさ」もその傾向だけど、 前回は、台湾人の役者がどうにか映画全体を引き締めてた。 今回のは、誰も締めないから「ユルユル・ペラペラだけど主張はするぜ」だ。 なんつっても、「濱マイク」の存在と映画とが重なってたね。
なんかさ、TV版「探偵物語」と同じ設定で、 マイクも街の人間から支持されてんだ。 でも、「探偵物語」の松田優作が何で街の人達から支持されてるかっていうと、 そこにはきちんと「理由」がある。 「あいつらは、半端者で肩を寄せ合って生きている。だから俺は守るんだ」 なんつって、命を張って、街の「半端者」を守ってるから、 優作がピンチの時は、逆にみんなが守ってくれる。 比べてマイクもさ、設定としては、街の人(半端者)から支持されて、 ピンチの時には、なぜか助けてくれたりするんだけど、 考えると、その「支持されてしかるべき人達」ってのは、 「昔の同級生」「昔の少年院仲間」「昔のボス」だけなんだ。 なのに、理由も無く「街全体」から支持されてるような「雰囲気」にされてる。
で、当然「雰囲気」だから、今回みたいに、平気で裏切っちゃう。 守るのは「妹」だけだ。うん、優しい兄妹(きょうだい)愛。
こういう「都合の良さ」というか、「理由無き良いトコ取り」な感じが、 「ユルユル・ペラペラ」で永瀬本人にも漂う「薄っぺらさ」というか、 カッコつけて強がりばかりいっても弱くて、 おまけに、事件解決をする訳でもなく、ただまきこまれているだけな濱マイク。 だけど、苦難を「ヘラヘラ」で耐えるならば、十分「カッコ良い」。 これは、ショーケンのTV版を豊川悦司でやった、 阪本順治監督の『傷だらけの天使』ではヘラヘラが徹底されててカッコ良かった。 だけどさ、この「永瀬」は、ピンチになれば泣きわめくし、 おまけに文句&説教は一人前・・・・・ガキなんだ。 このガキっぽさが「学生映画」の無責任さ&青さに通じる、と思うしだい。 まあ、「濱マイク」って名前自体がすでに「学生映画」っぽいけどさ(笑)。 (学生映画でも名作は一杯あるけど、そんなのとは一緒にしないように)
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