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[コメント] ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004/米)

何となくハリー・ポッターを観てきた私をようやく惹き付けた第3作。 描かれないドラマは影を演出する。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ハリーの親の世代の話(変身する理由など)を描かなかったことが、本作の足りない部分とするのは、なるほどその通りだとは同意しつつも、これは狙った効果であるような気もする。少なくともルーピンらの「影」を演出することには成功していた。私は原作を読んでいないのだが(第3作は読もうと思った)、牡鹿がハリーの親父さんの象徴なのだろうと想像するところまではできたものの、4人が獣に変身するのは、ルーピンが狼に変身する体質を不憫に思ったからで、更に、ルーピンの変身を抑える薬を調合していたのが、敵対しているかのように描かれていたスナイプ先生だ、という。

これを知人に聞いたときには、どうしてそんなに美味しい部分を言明しなかったんだ?と思ったが、1週間ほど考えて「なるほど」と思えるようになった。ハリー・ポッターは基本は子供向けなので父親世代のディープなサイドストーリーは敢えて“説明しない”ほうが良かったのだろう。

ルーピンの立場を現実に置き換えると、ある特定の状況で自分を保てなくなってしまう人、例えば、極度の揚がり性の人、飲酒で人が変わる人などが挙げられるだろう。また、出自・身分の違い、学歴、前科などの経歴も場合によっては類するだろう。このような友をもつ場合、それを知るまでは親しくしていた友人が、それを知ったとたん、あの人はいい人なんだけど・・・、と、よそよそしくし、本人もそんな自分を恥じて人の多い場を避けるようになるのは、今も昔もよくあることである。

子供にはいささか早い学習であり、大人にとっては少しの予備知識を先なり後なりで得ることで十分であろう。4人組の決意がもたらしたであろう悲劇や、厳しいスナイプ先生の親心(振り返ると第2作から出自でいじめにあうハーモイオニーにスナイプ先生が厳しいのとも重なる)など想像が膨らんでくる。

先に映画を観たものとして、原作がこのような人間性をどこまで表現しているか気になる。ファンタジーとしての限界はあるだろうけど、設定だけだったらがっかりだなー・・・。もし原作が設定だけなら、それを知ってるかどうかの違いだけとなり、映画の本編で取り挙げる必要性がさほどあるとは思えない。映画としては、設定を説明するかどうかではなく、そのドラマを描くか描かないかの判断でいいと思う。でないと想像力よりも言葉に頼った説明っぽい作品になることでしょう。 

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あと、ハーモイオニーの持ち前の「すましたキュートさ」が薄れ、どこかしら秘密めいた「影」を感じさせていたのも気になりながら鑑賞していたのだが、こちらのほうは作品の中で、時間を操る魔法を取得していたから、と説明してくれた。3人の表情を観る限り、ハーモイオニーの成長が最も早いように思えたのは、倍以上?の時間を過ごしていることも演出していたのであろうか。 ハリーと2人だけの秘密、2人だけの時間を共有したことで、ロンを交えたロマンスは新たな展開になりそうだ。

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以上のように、親世代の引きずる影とハーモイオニーのもつ秘密の影が、いままでにない雰囲気を醸し出していたと思う。

(評価:★3)

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