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[コメント] 東京=ソウル=バンコック 実録麻薬地帯(1973/日)

いかにも生臭い、菅原通済の三悪追放協会の協力による覚醒剤追放映画。千葉ちゃんが韓国代表金昌淑やタイ代表チャイヤ・スリヤンと地味なアクション合戦を繰り広げ、グライダー地上襲撃の件はヒッチコックに大敗。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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物語はチラシによると「某国内メーカーが密かに地下組織で覚醒剤を製造密売し、あたかも国外ルートで密輸入されていたかの如く見せかけていた。しかしこの事実は暗黙のうちに葬られ表面化しなかったという。本作品はこの実話に基づき国際スケールのアクション映画にアレンジしたものである」という週刊実話系。三悪追放協会の三悪とは覚醒剤と麻薬、売春。菅原は宴席でいかにもモノホンの黒幕っぽいオーラ出して千葉ちゃんを導くのだった。

ロケは釜山の頭に籠乗せた花売りや、湖面の美しいタイのメナム河の水上集落が見処。しかし何度かあるカーアクションにおける手ブレキャメラは邪魔で、もっと風景をまともに捉えてほしかった。撮影は他も冴えず、クライマックスの狗尾草ぼうぼうの広場での対決など、別にロケしなくてもいいじゃんというセレクトで芳しくない。グライダーからの射撃の対決は『北北西』を想起されるものだが、顔アップの連発がいかにも地味。やはりヒッチコックは神様だなあと落差に萎む。

千葉ちゃんのお尻破れるズボンと川谷拓三のカンフーが笑い処。麻薬製造の地下組織は中学校の理科室のほうが上等だろう。千葉ちゃんの「仁義ひとり旅」のデコトラのショボさは哀愁がある。

物語としては日本を捨てて「東南アジアの離民になる」「国や民族は捨てた。金だ」と嘯く松方弘樹にもっとフォーカスできたら深みが出ただろうに、いかにも上っ面だけだった。もっとも、アクション映画ファンにそんなものは不要なのかも知れんが。

(評価:★2)

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