[コメント] 紅の豚(1992/日)
宮崎駿監督はアニメーションという大衆とのパイプを使って実は大変暗く深い事実を伝えようとしている人なんですね。極めて奥が深い。
この映画は壮年から老年へと向かう自分のことを描いている映画です。
宮崎監督はこれまでも、これ以後も自分について語ろうとすることはありません。常に対象(相手)あるいは敵と戦う映画を作り続ける人なわけですね。しかしここでは頑なに自分のみじめさについて描いている。そういう境界線にある映画です。
この後『もののけ姫』を作るんですが、宮崎駿監督にとっては決意をもって描いた作品で、よおく見ると決して子供を対象にした映画ではなく、人間の内実にえぐり込むような作品でしたよね。
宮崎作品に見え隠れする宮崎駿の自分探しについて、色々試行錯誤を繰り返している。これが宮崎アニメの根幹にあると思うんですね。
演出もさることながら紅という色の使い方と豚という着想でこの映画の勝利は明らかだったということですね。
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