最初は暗い地味な話という印象がありましたが、いやいや、陰謀あり、チャンバラあり、ちょびっとロマンスありのサスペンス仕立ての年末特番大河ドラマっていう感じの作品で、大変見応えのあるものした。

　私が特に全編を通して見惚れたのは、衣装やらロケーションで、宮廷といえども質素な感じのする建築物や抑えめの色調に時折入る鮮やかな色彩感覚のコントラスト。とても好きでした。あと、空気に温感があるんですよ、オンドルの温もりとか、霧雨の冷たさ、高地の凍った大気。空気の寒温がこれだけ伝わってくる映画は、そうはないと思います。

　ストーリー的には、朝鮮半島の歴史を知らない私には何となく消化不良な感があったものの、結構考えさせられる内容になっていたように思います。特に、今は会社勤めをしているわけで、錆びついた／潤滑過剰の組織について自分じゃどうにもならない諦めを感じざるを得ませんでした。あと、私としては当時のキリスト教についてもう少し描写があったら更に違う視点がまじって面白かったのではないかと。