[コメント] ディープ・ブルー(2003/英=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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『WATARIDORI』と比べる方が多いように思いますが、私も『WATARIDORI』的だなと思いました。私はそちらの方は☆3にしたんですけど、こちらは文句なく満点をつけます!(ちなみにベッソンの『アトランティス』は☆4をつけました)
とにかく冒頭の高波のシーンからすでに口ぽか〜ん、みたいな(多分90分間のうち、70分間は口が開いていたよ、私)。数ある水モノのパニック映画(結構好き)、例えば『ディープインパクト』とか『パーフェクトストーム』とか『デイアフタートゥモロー』とか、最新の技術を駆使したCG映像で見せられる海や水の驚異的な猛威。それらを遥かに凌ぐ真実がこの冒頭にはありました。あの美しい「青」という色。もはや芸術と呼べそうなほどの曲線美を描き崩れては生まれる波のフォルム。食べかけのミラノサンドも落としそうなほど映像に引き込まれ、そして唖然となっていました。自然てやっぱり何よりも美しい!
その後はもう言うまでもなく驚きと興奮の連続。ところどころ残酷なまでの弱肉強食シーンもありましたが、そこにはやはり驚きと恐怖が。特に深海に話題が移行するところ。(ここは中だるみで眠気が襲ってくる頃で、上手いタイミングで深海に話が移り、またもガッチリ掴まされるとても巧い移行だと思います)もはや宇宙人だよあの生命体の数々は!真っ暗な宇宙を旅する未確認飛行物体のような発光体生物。闇を裂くようにプリズムを発光する生命体。まさに未知との遭遇。私はとにかく海に対して言葉に出来ないほどの恐怖心を抱いています。その恐怖心というのは宇宙に対する恐怖と同じもので、人間なんかには計り知れない未知の空間だからなのだと思います。
7年という、王家衛にも勝る歳月をかけて撮った映像の数々は、撮映クルーの努力と探究心の賜物であり、それらをこういう形で我々に提供してくれるという事が非常に嬉しい。映画を撮るとか番組を作るという以前に、クルーが本気である事が伝わってくる。だから私達も与えられたものとしてではなく、彼らの本気の披露宴としてこの映画を楽しませてもらえばいいんではないでしょうか。
『WATARIDORI』と『ディープ・ブルー』の違いは、後者のコピーである「誰も見たことのない世界を見せてあげよう」に集約されていると思います。私にとって、空と海では遥かに海の方が未知の空間であり、恐怖の対象であるのです。普通に生きていて肉眼では絶対に見る事のないであろう世界、それをこの大画面とベルリンフィルの驚異的な音楽付で体感出来た事は、私にとってこの上ない驚愕であり、幸福でした。
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