最初から最後までジェイソンやエイリアンしか出てこない映画、つまり、人間無しのホラー映画は成立するだろうか？　絶対に無理だろう。

　これはドキュメンタリーでも同じこと。もし、『アトランティス』の様に、ＢＧＶ的な映像美を追求したというのであれば話は別だが、自然の凄さを伝えるドキュメンタリーを作るというのなら、やはり人間を撮らないと、現場の凄さは伝わってこない。こんなに凄いネタがあるのに、なぜ撮り手の驚愕の顔や感嘆の声を頑なに消したのか理解に苦しむ。その為、なんだか非常に無機質感の漂う映画になったしまった。

　ＣＧ全盛の昨今、凄い映像が連続するだけでは、余り観客は驚かなくなってしまった。でも、人間の驚きの表情や声に対する観客の反応は根源的なものだ。これは永遠に変わらないだろう。

　この作品も、ほんの少し人間の驚きの表情やを加味しただけで、全然違う臨場感が生まれたように思う。そう思うと本当に残念な作品だった。