[コメント] アメリカン・スプレンダー(2003/米)
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同タイトルのコミックの原作者ハービー・ピーカーの半生をコメディ・タッチに描いた映画。
アメリカン・コミック「アメリカン・スプレンダー」の原作者ハービー・ピーカーがどうしてコミックを作るようになったかというきっかけから始まり、彼の熱狂的なファンだった女性ジョイスとの結婚、ハービーの闘病生活までのストーリー展開をハービー本人のインタビューを交えながら描いていて、ドキュメンタリー映画に近い作り。
物語として進行するハービーのエピソードとハービー自身の話が交差する独特なストーリー展開が妙に話にリアリティを持たしていて実に新鮮に感じられた。
ストーリー自体はごくごく平凡な話で、ハービーのコミックのストーリーを練るところもジョイスとの言い合いもごく普通の出来事でそれほどインパクトがあるわけではないが、ハービーやジョイスなどの登場人物たちはかなり個性的な性格でハービーがジョイスや友人と一緒に見た映画『ナーズの復讐』の出来に関してジョイスや友人と激しく言い合いになるシーンなんかはかなりマニアックな作りでそのやりとりは見てて非常に面白かった。
ただ、事実に属する部分はどうしても動かせないためか、中盤まではコミカルなタッチで描いていたのに対すると、ハービーの闘病生活に入ってからはストーリー自体がかなりシビアな方向に進むので、そのギャップに少々戸惑ってしまう。闘病生活を今までのようにコミックにして描き続けることでハービー苦しみを和らげようとするジョイスの試みは確かに納得できるが、映画として見る分には特にドラマを盛り上げるような演出もないためか、平凡に終わってしまっているところが残念。
役者としてはハービー役ポール・ジアマッティやジョイス役ホープ・デイビスは実在する本人たちに顔立ちが非常にそっくりでキャラにも感情移入しやすく好感が持てる。なかなか上手いキャスティングだと思う。
映画としてはハービーの半生を独特なタッチで描いたストーリー展開はなかなか興味深く、役者の演技もはまっていて、普通にコメディや波乱万丈な人生ドラマとして観る分には申し分ない。
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