[コメント] 恋の凱歌(1933/米)
サイレント期の大傑作『サンライズ』や『肉体と悪魔』と同じ、ヘルマン・ズーデルマンの原作を元にした、ドイツを舞台とする作品。主演のマレーネ・ディートリッヒは本作でも冒頭から前半は、次作『恋のページェント』同様、過剰にウブな女性につくっている。
彼女がラスト近くに至って物凄いヴァンプになる、というキャラクタリゼーションのギャップが見どころの一つだ。
ディートリッヒはベルリンの貸本屋(伯母さんの家)に下宿し、店を手伝うのだが、この店が半地下にあり、窓から道行く人の足下が見える。また、この窓から通りの向いのビルを見上げると、彫刻家ブライアン・エイハーンのアトリエがある、といった高低を活かした装置作りにまず目を引かれる。店での二人の出会いのシーンでは、ディートリッヒは梯子に乗っており、脚が露わになる、というサービスショットあり。また、二人のデートシーンでの、公園の木々の中の光が美しい。
後半はライオネル・アトウィル演じる男爵の邸宅が舞台となり、怖い侍女や、乗馬を指導する若い男も絡んで少々演劇臭い展開となるのだが、ディートリッヒの振る舞いにはヤキモキさせられテンションは持続する。クラブで男達に囲まれたディートリッヒが、歌を唄うシーンが見せ場だ。ルーベン・マムーリアンは、どんな題材でも見事にまとめ上げる。
#原題の「THE SONG OF SONGS」は、映画中の字幕では「雅歌」と訳されている。聖書の中の歌なのだが、ディートリッヒがエイハーンのアトリエでモデルになった、彫像の名前でもある。
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