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[コメント] 白夜の妖女(1957/日)

意外なことに泉鏡花「高野聖」の映画化は日本映画史上本作のみ。滝沢英輔監督作。高野山。赤い袈裟の高僧、滝沢修が、女人に惑った話の回想を始める。20代の高僧を葉山良二。隔絶した森の中の妖女は月丘夢路が演じる。
ゑぎ

 月丘は紗のような着物を身に着け、後景が透けて見える透明のイメージで、登場から不思議な感覚を醸し出す。川の中の温泉で入浴する場面では、殆どヌードに近いほどの肌の露出度だ。見終わって調べてみると、どうもこゝは有名なシーンのようで、Wikipediaの「ヌードシーン」の項では、「月丘夢路も1957年の『白夜の妖女』でヌードになっているが、劇場公開の際に画面の大多数にぼかしがかかって観客が判別不能だった。」と記載されている。特殊効果でぼかしているのだとしたら、とても品のいい仕上がりだと思う。

 さて、妖女・月丘が、白痴の少年と同居している、というのは原作通りなのだが、実は私は月丘以上にこの人に目が行ってしまった。一体何者?ホンモノか?小林正という人がやっているのだが、上手いし可愛いのだ。それに、後半のこの白痴の少年は原作以上の扱いになる。彼の実家(数百年続いているという一族)の場面が、オリジナルのプロットとして追加されている。中でも祭りのシーンでは、透け透けの着物を着た巫女たちの踊りがあり、乳首が見えるカットがある。こゝでも、本作の当初のコンセプトが透けて見える。

 エンディングの幻想性も私は良いと思う。ラストまで、白痴の少年が絡むのもいい。蝙蝠やガマ、牛や馬の扱い、これらの特殊効果も面白いが、今見ると幼稚な造型であることも確かで、後半のメロドラマ演技も少々臭いけれど、見どころは満載の楽しいファンタジーだ。

(評価:★3)

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