コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] あゝ予科練(1968/日)

紋切型の逸話のつまみ食い。いつ西郷輝彦は操縦桿の握り方を習ったんだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







予科練の話なのにいつ卒業になったかも判然とせず、その他教官のしごきだの脱落する同輩だの隣の娘の懸想だの親子の和解だの、特攻隊映画のパターンがすでに並べられているのは立派かも知れんが過去のハードな告発に比べて学芸会気分、どれも深みがなく類型的で白けるばかり。こんなもんで追悼されては戦死者が気の毒というものだ。

本作の主張は西郷の大原麗子への、君が生きるために僕は死ぬという吉田満みたいなよくある告白なのだろうが、云われた方が迷惑する自己正当化以外の意味はないといつも思う。これまでありがとう、お元気でと多くの特攻隊員は書き残したが、貴方のために死にますなどというお仕着せがましい遺書は稀だ。あの状況でそんなこと口にするだろうか。大原が病気になるぞ。

唯一、特攻の前の晩のどんちゃん騒ぎ以下が見所か。あと、ハンモック吊りの描写が勉強になった。あれに初年兵は苦労したのだと梅崎春生が何度も書いている。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。