[コメント] 二重誘拐(2004/米=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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邦題は完全に失敗…のような気がしたけれど「誘拐モノのスリラーを期待して鑑賞する人を裏切る」という策略にハマってしまったような気分だ…。そして、『The Clearing』という原題は綺麗(曖昧で抽象的…これも策略?)。
「なぜ?どうして?」という答えとは別の次元で繰り広げられていく。対照的な二人の中年男性の人生が浮き彫りになってくると、次第にその理性は失われていき、思いもしない結末を迎えることになる。また、注目すべきは妻アイリーンの心情。誘拐の狭間で、夫とすごした日々を自分の手で手繰り寄せていく。事態が深刻化するにつれ彼女は、自分は実は暗く切ない日々を送っていたのだと気づかされるのだ。しかしながら、あの結末を受け入れた彼女は少しだけ変化する。「あの人は私の傍にいてくれた」……と。事態が明確でない、そんな荒削りな脚本だとも思えるのだが、それが逆効果に働いているのかもしれない。
ただ、デフォーの掘り下げは甘い。同時に、あの誘拐劇も甘すぎる。森林をひたすら歩く展開は捻りが無いし、レッドフォードとの会話も次第に失速。ここが見せ所のはずだが本当に惜しい。デフォーの苦悩よりもヘレン・ミレンの苦悩ばかりが際立つというのもいかがなもんか…。
森林での二人と自宅の妻。この時間軸のズレの描き方もイマイチ。このズレには劇中で気づかされる訳だが、これがもっと明確ならばミステリーとしても盛り上がる。そして、ラストの手紙にももっと感動できたはず…
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