[コメント] しびれくらげ(1970/日)
しかし、冒頭は学生だったユミと違って、最初からモデルという仕事に就いている成熟した女性として登場する、例えば父親−玉川良一に対する言葉遣いなどを見ても、より強い性格に描かれている。ただし、口ではきつく云っても、心の中で父親を想っている、といった渥美の部分は本作でも描かれている。
クレジットバックは、白いレースのネグリジェを着て踊るような動作で脱いでいく渥美。これをアクション繋ぎで見せる。そのうち客がいることが分かる。ストリップ・ティーズなのか?と思わせるが、客席の装置も客層も上品で、下着のファッションショーだと了解する。このトップシーンがまず良い出来だ。舞台袖には繊維会社の(ショーのスポンサーだろう)川津祐介がいて、本作も渥美の相手役はまずは川津だ。彼も『でんきくらげ』の時とほとんど同じようなキャラ造型だが、ルックスとしては何故かメッチャ日焼けしており精悍に作られている。
本作の川津は、登場から渥美のフィアンセという役柄だが、すぐに「米国の取引先の仕入担当重役と寝てくれ、僕の出世のためだ」と渥美に云う。渥美はビンタするのだが、こゝで、180度カメラ位置を転換して繋いで、本作もドンデンの演出が炸裂!と思う。ビンタされた川津が、有無を云わさず渥美にキスするのもいいが、このキスシーンで2回カットを割るカッティングにも驚く。このカット割りの工夫は『でんきくらげ』とはまた少し趣きが異なっていると思った。結局、アメリカ人と寝ることに関して、渥美が「考えさせてよ」と思いっきり強い口調で云った後、次のカットがベッドにいる胸毛だらけの男と渥美のカットなのだ。こういう構成の面白さが随所にある映画だ。
そして、メインのプロットは父親の玉川が行きつけのバーのママ−根岸明美とその情夫のヤクザ−草野大悟によって美人局にハメられ、強請られるという展開になる。これにより、根岸にセクシーな見せ場があるというのもいいし、玉川が終盤まで良く目立って、大映テレビみたいな演技を披露し続けるのも面白い部分だ。さらに、草野の舎弟で若き田村亮と平泉征が出て来る。田村は、玉川と根岸の寝間に草野が乗り込む場面からいるのだが、最初は、誰だか分からないような見せ方なのだ。それが後半になって、田村が渥美と2人で川津に復讐する、という役割、滅茶苦茶な展開になる。このダイナミックなプロット構成も本作のストロングポイントだと云いたい。
尚、玉川と渥美の父娘の会話シーン(ほゞ怒鳴り合い)は、矢張り、ほとんどツーショットで(1人だけ抜くことのない)180度カメラ位置転換で繋がれる。ただし、『でんきくらげ』よりもアクションの途中で繋ぐ演出が多いと感じた。あるいは、夜のベンチで田村が渥美にレイプしようとするシーンのカット割りもツーショットの切り返しから、アクション繋ぎでどんどん見せ、ポン寄り(カット・ズームイン)も繰り出す。上にも書いたが、こういったカッティングの工夫が『でんきくらげ』よりも良く出来ていると私には感じられる。
#備忘でその他の配役などを記述します。
・渥美が所属するモデル事務所の責任者は近江輝子。他のモデルに笠原玲子。
・草野の舎弟には田村や平泉の他に、金子研三がいる。
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