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[コメント] ブラックレイン(1989/米)

日本や日本人に対しての「勘違い」はあるにしても、咀嚼しようとした取り組みは評価。外国ロケの作品で、手慣れた画面構成を実現させていることには脱帽。そして……松田優作。彼の圧倒的な存在感には、全ての意味で言葉を失う他ない。
かける

松田優作は日本映画界に生き、そして彼として身を置くべき場所に圧倒的に存在していた。彼を失ったことについては、今でも言葉を重ねること自体が悲しく思えてきてしまう。

残念なことに、この映画も彼の生前は絵に描いたような不入りだった。そして、それはこの映画に対する一面の正しい評価だろう。また、これまでも松田優作その人の存在感やポテンシャルが、必ずしも作品のクオリティ(そして興業)に結びついていなかったことも確かだ。

しかし、人はここに鬼神を見ることになる。それは、松田優作の凄絶なまでの存在証明だった。

彼は最後まで松田優作であり続けることを選択した。そして、この『ブラックレイン』でも、いつもの彼の映画のように、どこかからやって来て、私たちをどこかに誘い、そして一人でどこかに行ってしまった。

今までと違うのは、私たちは永遠に取り残されてしまった、ということだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)しばやん

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