[コメント] エイプリルの七面鳥(2003/米)
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今年はこの手の映画が多かったですね。『みなさん、さようなら』や『ビッグ・フィッシュ』は大好きな映画ですが、本作は感動できるほどではありませんでした。その大きな理由は、主人公が女性だから、と言ってしまえばそれまでですが、前2作が親父を反面教師として自立した主人公を描いているのに対して、本作は家族と馴染まずに里離れしてから自立もままならない女の子。 私自身、女性でない上に、親元離れて普通に自活している身としては、彼女の奮闘ぶりに「がんばれ!」と応援は出来ても、なかなか感情移入するところまでは至らない。
対象となる親も、前2作が自分の世界観を持つ親父(道楽親父)を対象としているのに対して、本作は、若干厳しさはあるものの(少なくとも病気を煩うまでは)ごく普通の母親(エイプリルに対しては元来からかなり冷たく当たったようだ)。 本作の対象が親父でないことに加え、母親に魅力的な世界観がないことも私の興味を掻き立てない理由の一つだろう。
要するに、エイプリルと母の不和の原因は、2人の価値観の相違というよりは、性格の相違に過ぎない。ストーリー的に・・・ そこが・・・ 物足りない。 まぁでも、よくよく考えてみたら、キャリアウーマンと道楽母さん(或いは道楽親父でもいいのだが)の設定では映画化は難しいかもしれない。
エイプリルの描写について言うと、“What to do(やること)”リストをやってから記入して消したのは苦笑。これは“What I did”リストというべきもの。彼女を演出するネタとしてはOKです。ナイフの扱いはひどすぎる(笑) あと、あのオーブンはホントに壊れてたのでしょうか? ガスの元栓が閉まってただけじゃないの?と気になっていた自分としては、ラストのパーティ(かエンドロールのおまけ)で誰かが簡単にオーブンを起動させるオチがあっても良かったと思う。
登場人物は、エイプリルと母と妹の描写が軸になっており、男性は基本的にみんな好人物だった。エイプリルの彼がスーツにこだわる理由は判らないでもないんだけど、何もその日に・・・って感じもする。5Fの住人だけが曲者のように描かれていたけど、自分的には彼の反応は意地悪だけどそんなに異常とは思えないし、何気に彼に一番人間味を感じた。 エイプリルのキャラとは好対照だけど、これから先2人は仲良くなるような気がする。
あと、トレイの七面鳥を持ってビルを上下にドタバタ走り回るのは愉快だった。欲を言えば、早送りするなり、ビルの外から階段の壁を透かす透写法を使うなりしてコメディタッチな立体感をだせると良かったと思う。 エイプリルを含めて住人どうしほとんど付き合い無いように、都会の人付き合いは日本とあんまり変わんないようですね。どの部屋にもでっかいオーブンがあるのは流石はアメリカ。
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