[コメント] ターンレフト ターンライト(2003/香港=シンガポール)
映画を見終った人むけのレビューです。
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劇場に行ってジョニー・トー監督作品と知って驚く。確かに『Needing you』とか撮ってる人だけど、こんな作品まで撮るのか、と少し関心した。
実は俺、どーせアイドル映画だろうとナメて見に行って、見事にこの小粋な作品にニヤニヤしながら大泣きして、ラストシーンではやっと二人が結ばれた事に安心して更におお泣きして、隣の空席に手を伸ばして「あぁ、ここに彼女が座っていればなぁ」という妄想に浸った訳でありますよ。
まぁ彼女の目の前で泣かずにすんだだけマシかな。
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「偶然」を露骨に強調した作品。絵本が原作と言うだけあり、確かにどこか一発ネタの感も漂う危なげな内容だが、どうしてこうも直球ど真ん中に俺の心を射抜くのか。可笑しく、楽しく、可愛らしい、その偶然なすれ違いが、どこか少女漫画的にストレートに描かれる。実に可愛らしい世界。
しかも、どこぞの韓国映画の様に安易に「泣かせ」に走らずに、あくまで物語を描く事に終始しているその姿勢が心地よい。あざとく演出せずに、爽やかに泣かせるその手腕は大した物だと思う。もう思いっきり泣いちゃったよ。
「想い合っていればいつか想いは届く」。そんな生ぬるくてかび臭いメッセージを、こうもストレートに描ききってしまう。なんとも恥ずかしくも真摯な姿勢だろうか。ジョニー・トー、あんた恋するボーイだね?
メリーゴーランドの件や、その壊れた馬を家に持ち帰る件、噴水に原稿を落としてしまい、それを野原で乾かすシーンや、犬や赤ちゃんなどの巧みな配置等々、良い意味で物凄く女々しく、手堅く作られたラブストーリーである事が良く分かる。そして、コレだけ手堅くストレートに作られているからこそ、だからこそベタで先がミエミエであろうとも、それでも1分先が早く見たくなる様な、直球ど真ん中のラブストーリーが出来上がるって物だろう。
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ただ、最後、地震で電話が切れ、壁が崩れて会える、と言うシーン。まぁ最終的にあぁいった形で物語を終わらせる、と言うのはある程度予想は付いていたけど(しかし見事に泣かされたけど)、俺はあそこで安易に抱き合わせず、壊れた受話器を耳にあてたまま微笑んでフェードアウト、と言う方が良かった気もするんだけど、ま、所詮素人の考えか。
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主役二人は好演。脇役や、所々のエピソードの配置、演出も見事にベストマッチして、可愛らしい見事なラブストーリーに仕上がっている。
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