[コメント] この首一万石(1963/日)
ああなるほどと腑には落ちる巧みなホンだがアイディア先行のコントに近くそれ以上ではない。もうひとつの深刻さが不足しているのではなかろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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『切腹』タイプの武士道残酷物語(伊藤大輔はもちろん自分の抽斗でホン書いてるだろうけど)で、死ぬ前に延々長講釈させる小林より映画的であるのは無論。しかしそれにしても上手くいっていない。大川橋蔵がキャラ作り過ぎで腰が据わっていないからじゃないのか。つねにはしゃぐかイチャつくか歌うか酔っぱらうかで、普通にしていることがなく、そのためにこの奇異な運命に見舞われても、ああ酔生夢死なんだなあ、仕方がないよなあとしか思えないのであった。
皮肉で云えば、もちろん一番悪いのは、槍で嘘ついたのに回収を忘れていた水原弘である。橋蔵の顔へのズームイン連発ショットも伊藤大輔のものなんだろうか。目まで突かれる収束の陰惨はすごいものがあるが、これは戦前の時代劇も陰惨なものが撮られているから意外ではない。ただカラーで撮られると陰惨が増している。屋根に飛び上がるのは鉄砲で撃たれたからなんだろうか。ついでに殺される江利チエミが不憫だが、二役につきここも余り深刻には取れない。
富士山はとてもきれいに撮れているのは皮肉なんだろう。三種の神器守護のため殺された者たちへの追悼なんだろう。それは判るがもうひとつの切迫感に欠けた憾みがあり残念。
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