[コメント] Mr.インクレディブル(2004/米)
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過去の栄華を語っておいて、時を経過させ、忘れ去られたヒーローの哀愁感から事件に巻き込まれて行くまでのストーリーまでの脚本が見事。寸分の無駄が無いどころか余計に盛り込まれた細部のお遊びまで心から楽しめる。CGアニメは手描きのクラシックアニメーションのような「ぬくもり」が無いものの、本作はアートセンスに凝り(昔のシーンは古びたタッチetc)目を見張るリアルな背景や動きで観客の目を奪う。技術の進化したCGでキャラクターをリアルな等身にすると逆に生身の人間の様で面白く無くなるのを、思いきりデフォルメしたデザインにして見るものに親しみやすくさせている工夫も流石。根本的に個々に能力を持った数名が団結する話は多くの他作品に見られるが、全員が家族で、日常のごく普通の会話を盛り込んでおきながら、後半で大活躍する姿はハートフルで感動する。父親で元ヒーローのボブの像はある程度想像がついたものの 妻のヘレンの時代と呼応したような女の強さ、母の強さを象徴した像は、非常に現代的で興味深く、活躍ぶりに感動した。ボブより実際、たくさん活躍していたような気さえする。子供たちも計算されており、ステレオタイプな腕白ながらもダッシュには思いきり遊べないとゆーコンプレックスを抱かせ、娘のバイオレットに至っては陽気で生意気なティーンに描かず引っ込み思案な少女に描いている奥の深さも単純なファミリー映画の設定と異なり、かえって観客にリアルな親近感を感じさせた。敵役のシンドロームは本当に人間的な憎たらしさの持ち主に描かれているのも見事だが、子供時代の前振りがあるのも心憎い。個人的に爆笑したのがデザイナーのエドナ。高田賢三は勝手にモデルにされた慰謝料を取れると思う。正直、必要のない脇なのに主婦になりきってたヘレンにハッパをかけたり、ちっとも人の話を聞かずに自分のペースで話を進めちゃうアート系の痛い資質をブラックに描写していてウけた。フロゾンの脇に徹していながら後半の颯爽とした活躍ぶりも楽しい。単純にハラハラワクワク楽しむはずが気が付いたら、ほろりと泣いているとゆーディズニー伝統のテイストは十分受け継がれている。大人も子供もまさに家族丸ごと楽しめる名作。難点を言えば殺されちゃった数名のスーパーヒーローとシンドロームの最期。ウォルトが生きていたら難色を示したはず。例によって日本語吹き替え版は驚くほどにベストフィット。ボブ役の三浦友和は違和感なく起用に演じ。見直したのが黒木瞳、若い頃の小憎らしい感じと母になってからの強さを見事に声音で演じ分ける。鼻にかかった感じが人見知りな雰囲気を醸し、叫び声も無理なく上手だった綾瀬はるか、ダッシュの海鋒拓也も素直な子供の声で安心して楽しめた。そして宮迫博之の台詞や動きに頼らず、声だけで憎たらしい様を演じきった演技も見事。
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