[コメント] 青いパパイヤの香り(1993/仏=ベトナム)
あの可愛い娘が岸田今日子さんみたいな女に成長する10年間の奇怪さを思う。白い蛇と合体したのだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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亭主に捨てられた雇い主(育ての母)の不幸は彼女を略奪愛の女にした、というとこなんだろう。年中屋根裏部屋にいて死んだ亭主に念仏唱えている老婆も効いている。序盤から稽古していた料理の腕でオトコ釣るのであり、この点で描写は一貫している。立小便する弟の無茶からも、男というものの認識を深めたのだろう。
とても静かな映画。中庭の石畳にいろんな音がかすかに響き続けている。ピアノ、虫や鳥の鳴き声、弟のオナラ、木魚(坊さんではなく遺族が叩いている)、そして戦争を予感させる爆音の飛行機。本作の外延にヴェトナム戦争を読むのは正しいと思われる。劇伴はどんどんと不協和音になる。
私的ベストショットはカーテン越しに少女の前に現れるのっぺらぼうの白い人影。描写はほぼ断片ばかりで、これが繊細さを演出している。主人公に故郷は本当にあったのだろうかと不思議になる。本邦バブル期にバブルっぽく消費された作品だが、それを越えていい映画だ。
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