[コメント] オーシャンズ12(2004/米=豪)
泥棒の映画としてはスティング依頼の楽しさ。ルパン三世も彷彿とさせる。おしゃれ泥棒だって追いつけない。でもやはりスターの総出演がこの映画に醍醐味。これだけの素材があればどんな映画だって楽しくなるだろう。
前作では、”盗む”という行為に二つのテーマがあった。一つはラスベガス最大のカジノから現金を盗む、ということと盗まれた元妻を取り返す、というテーマであった。これが映画のラストに向かってわかってくるところが面白かった。
今回は”盗む”という行為ではなく”借金返済”がテーマとなっている。従って、このドラマの中心人物達の狙いが概ね冒頭からはっきりしてしまっている。ここが前作と大きく異なる点であろう。
だから、というわけではないが、”盗み”という行為そのものの工夫だけがクローズアップされていて、そういう視点のみで見る分には楽しいが、テーマが飛んでしまっている分ラストの面白味には欠ける。
ただこれだけの役者を揃えることで圧倒的なパワーで押し切ることができている。そこには大きな価値があると思う。映画会社の魂胆で無理矢理スターを揃えて作られた映画とは異なり、この作品群にはソダーバーグの意思とクルーニーの人格とが交差していて違和感が全くない。これはエンターテインメントとしての映画に最も大切なことだと思う。
『タワーリング・インフェルノ』とか『ポセイドン・アドベンチャー』とか『エアポート』シリーズだとか、かつて各国のスターを呼び集めて作られた対策は多いが、中味が伴っていない。要するに個性の強い役者を集めると、焦点がぶれるということなのだ。
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