[コメント] シルヴィア(2003/英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「俺と彼女の会話」
○道路・交差点 信号が青になっている俺と彼女。目の前をシルビアが走り去る。 俺「あ、シルビア」 彼女「え? シルビア?」 俺「うん。シルビア」 彼女「え、『シルビア』って車の話なん?」
あんたねぇ、「プロジェクトX」じゃないんだから・・・
◇
この手の物語のレビューを書く度に書いている気がするのだけど、「based on true story」と言うのは、本当に、どんなエッセンスよりも強烈なスパイスだと思う。このワンフレーズが上映前に出るだけで、このワンフレーズがチラシや予告編、ポスターに書いてあるだけで、作品の印象は随分変わるし、まぁ失礼ながら映画を見る度、点数をつけて素人目からこんなレビューを書いている側としても、やはり評価に困る。
何しろ、ここに描かれている事の大筋は事実で、しかも一人の人間の人生を追っている訳だから。正直、そんなとんでもない物にゴチャゴチャ文句言う度胸、俺には無いよ。無いよ。うん。無い。
えーっと、詰まんなかった(爆死
◇
詩人として、女性として、妻として、母として生きたシルビア。旦那は詩の業界では高名な人間。そして浮気性。自らに芽が出ない事に対するプレッシャー、家事をする事で裂かれる自由な時間、彼女の背中に「キャリア」と「家庭」と言う二つの重荷がのしかかる。そのギリギリの状況の中で、彼女は詩を作り続ける。
嗚呼、確かに興味湧くプロットだけど、「物書き」と言う職業の人間を主人公に据えたノンフィクションストーリーなら、俺は『アイリス』の方が遥かにドラマティックで詩的だと思う。だって物書きの脳から、売り物である“言葉”が欠落していくんだぜ?何て悲劇的で、しかし詩的な物語だろう。
って、中身が全然違うわな。でも、シルビアが最終的にオーブンに頭ぶち込んで自爆死した、と言う結末にも何となく納得できた。嘗ての文豪達が自殺したのと同じでは無いかもしれないが、詩人なんて人並み外れた感性がなければ出来ないだろうし、そんな人間があんな環境に於かれたら、やはりあぁいった様にヒステリックになり、自殺をするかもしれない、と思う。シルビアの詩が暗い雰囲気を有しているのもその為だろう。
彼女の自殺の方法――オーブンに頭突っ込む――と言うのは、睡眠薬やリストカット等と違い、何とも自滅的で彼女の人生を象徴した死に様であろうか。皮肉や、嫌味抜きでそう思う。
幸か不幸か、彼女を有名にしたのはあの家庭環境、と言う訳か。「怪物と闘う者は、その過程で自分自身も怪物にならぬように気をつけねばならない」と言う所か。あ、そういえばニーチェも発狂死だっけな。
◇
まぁかように暗い物語なので、俺にはどうしても作品に入り込む事が出来ず居た。序盤辺りはよくあるイギリス映画、と言う感じでほんのりとした空気で進むラブストーリーなのだが、結婚した途端、段々家庭が崩れていく辺りから、シルビアのヒステリックな一面が垣間見え始め、どうにも感情移入し難い物語となってしまった感がある。
俺には、シルビアはタダの嫉妬の権化にしか見えなかった。勿論、それが「書けない」苦悩から来る物であるのも承知なんだけど、それでもやっぱりあそこまでやっちゃうと、シルビアっていう人の人間性を疑う、と言うか、バカにしか見えなかったと言うか。
まぁ「愛が深い」と言ってしまえばそれまでだし、彼女の自殺方法も一見すればバカだが、良く考えると何か深い物を感じる。そう、詩的とも取れると俺は思う。だからどうしたって話で、映画は本当に退屈だったんだけどね。
◇
女性ならば、「家庭」と「キャリア」の板ばさみで苦悩する事もあるだろう。だが、彼女の生き様=本作を通して何を語れただろうか?シルビアの詩のファンの人なら関心するかもしれないけど、俺はさっぱりわからなかった。だから?と言う印象。
むしろ、ヒステリーが度を越して時々コメディに見えてしまったんだが・・・まぁそれは演技が凄い証拠でもあるから、その点は評価するけど。
(評価:)
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