[コメント] 恋に落ちる確率(2003/デンマーク)
壊された瞬間から映画的醍醐味が増大していく快感。
序盤は「男と女」みたいにコラージュを積み重ねていくのかなと思うと、「スライディング・ドア」っぽく二股に分かれていき、さらにもっと壊されていって「去年マリエンバートで」に近づいていく。映画的文法が取っ払われていくのだが、それが逆説的にとっても映画的で楽しい。全てのことが起こりうるが全てのことは幻という、禅問答的な映画。
原題の「reconstruction」の通りに出会いと別れが再構築されていく。その刹那的な儚さが恋愛の美しさを引き立ててたまらなくイイ。
時おり使われる音楽がまた良くて、エレクトロニカぽいワンコードの繰り返しだったりクラシカルなストリングスだったり。
映像もざらついた粒子の粗いデジタルビデオぽい画で色の出方が儚いせつない!手持ちカメラぽい寄った画から、航空写真のように俯瞰しまくった画まで引いていくメリハリがすごい。主観と客観を行き来するというか、神の視点をも思わせる。
配給会社はアフォな邦題つけて「“究極の選択”を巡る恋愛についての映画」みたいなオサレな恋愛映画ぽい売り方をしたが、そんな映画じゃなかった。いや、自分も恋愛映画期待したバカなんだけど。たぶん監督の意図の半分もわからんかったが、それでも十二分に刺激的で緊張感途切れずに楽しめた。「メメント」以来の感覚で見る映画じゃないだろうか。
最初と最後のナレーションと大道芸人は真っ当に映画的というか、バカな自分のような奴のために説明付けたようで少々イヤミだった。あれいらんよ。
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