[コメント] バナナ(1960/日)
美点は前半にふたつあり、ひとつは在日華僑の中台対立という箆棒な設定、もうひとつは岡田茉莉子安定のツンデレコメディ。後半は投げやり。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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中国人にしか見えない尾上松緑(2代目ですな)の保守主義(「20歳でアカは当たり前、40歳で保守は当たり前」)が津川雅彦と小沢栄太郎を通じて岡田に感染していく処に妙味があり、バナナの権利渡されて「人生観かわっちゃったワ」とシャンソン・デヴューに興味がなくなる辺りのリアルは、日本の高度成長のエートスそのものの感慨がある。
バナナ輸入の薀蓄も面白く、宮口精二の親子コメディがやたら充実している。しかし後半は大風呂敷がうまく畳めていない。杉村春子と仲谷昇の色恋など平板だし、華僑対決も全然穿っておらずいつもの小池朝雄というだけ。岡田のシャンソンも何てことはなく、ラストもいい加減。
しかしまあ、冒頭で回顧できる通り、当時中国と台湾は海峡挟んで双方、決して届かない威嚇ミサイルをドンパチ打ち合っていたのだ。こういう記憶を喪失して北朝鮮のミサイルでビビり過ぎるのも如何かと思ったりする。
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