[コメント] レイクサイドマーダーケース(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
もうずっと以前に一度だけ見たことがあったのだけど、この夏ちょっと神様からロングバケーションをいただき、その間に映像化原作シリーズとして東野圭吾作品をいくつか読んだ関係で、どんなんだっけ?と思って再見。とはいえ、この原作は読んでないんだけどね。
以前に見たときは、なんてつまんない映画なんだ!と思った記憶がある。きっとそのときはミステリーとして観ていたんだろうな、と思う。しかし、今は違う。今はきっと、受験生の親という目で観てしまう。いままでは、「私の人生じゃないし、心配してもしょうがない」という気持ちだったが、受験生の夏休みになり、なんだかやたらと心配になってきた。来年の春には、わが子だけは希望の学校に入学し、幸せな笑顔で入学式にのぞんでもらいたい。なんていう、身勝手で超親バカなことを真剣に考えている。高校受験でそうなのだから、大学受験のときはどうなっちゃうんだろうと、いまから恐ろしい。
この映画はまさに今の私と同じ、身勝手で超親バカな親たちの物語。決して、殺人事件の解決がストーリーではない。そういう意味では推理モノ、というのとは違う。結局、誰がどうして殺したのかは最後まで明らかにされないし、そもそも(原作は知らないが)この映画に関していえば、犯人がだれかということはさして重要なことではないのではないかと思う。
「それが血が繋がった親なんだよ!」と言われたら、前の私なら「????」となっていたであろうけれども、いまとなれば、私だって彼らの言う「本当の親」というものになってしまう可能性があるんじゃないか。なんてね。カッコいいこと言っていたけど、結局は娘の志望校の理念を覚えることを選ぶ夫と、ソレを見て、いままでになく優しそうに幸せそうに微笑む妻。それが、彼の言う「本当の夫婦」の姿なのか。彼女もそう思っているのか。ほかの2組の夫婦も、そういう「本当の夫婦」だと思っているのか。そうだとしたら、そのこと自体が怖いことだ。そういう夫婦のなかで、大人になっていく娘も、もっと怖い。先生のぶっちゃっけの叫びこそが真実だろうな、なんて。
全体的に映画というより、舞台っぽい。ほとんどが湖畔の別荘と暗い森が舞台で、そこに登場人物が全員集合していることが多いし、登場人物の立ち位置なんかも効果的。柄本明がスゴイのは期待どおりだけど、薬師丸ひろ子ちゃんがちゃんと「そんな目」や「あんな目」や、「安心した微笑み」など、文字にならない表現できる女優になっていたのに、とても驚いた。原作を読んでなくて正解だったかも。最近の東野作品にはガッカリしてばかりだし、その映像化にも不満だったからねー。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。