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[コメント] 真夜中の弥次さん喜多さん(2005/日)

完全なるファルスに徹したヴァージョンのクドカンはSO-SOだったデビュー作
junojuna

原作のしりあがり寿の世界観があるから、クドカンも大いに遊べているといったこれはこれで良しな感じな作品である。下手なドラマは2時間近い作品のうちにインサートする緩徐部なので、この置所も映画の音楽的な構成の手練だと考えればよい。その分、彼の本領であるガキビートなファルスへの突き抜け感は、アメリカンのタンデムで突っ走る爽快感とともに衒いがなく、時の人クドカンのデビュー作としてはまずまずだったのではないか。その中でも主役に長瀬智也と中村七之助を配して、パッケージ感が絶妙なバディムービーを作り出したことはなかなか上手い。ゼロ年代に入った日本映画のコメディ展開、それは良くも悪くもあると思うが、一時代を牽引する躍動感に満ち溢れていた。七之助と共に、中村勘三郎(当時・中村勘九郎)も大いにふざけていたのがなぜか印象深い。次作監督作の『少年メリケンサック』は唾棄すべき駄作となった通り、やはりこの人は監督をするならファルスに徹底していなければいけない。プロデューサーは決してこの人に、人情を扱うドラマをやらせてはいけない。なぜなら彼は永遠のガキだから。そして誰もが懐かしがって還りたがるも決して還ることが出来ないそのガキマインドを、この人は真に持ち続けているのだから、ゆえにそれを永遠に手放してはいけない。そのマインドから生まれる作品はユニークの塊であり、唯一無二の才能である。その点については誠に期待して良いのだ。

(評価:★3)

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