[コメント] コーラス(2004/仏=スイス=独)
勢いだけで欧州統合を進めてしまってよいものか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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国内に多くのアラブ人を抱えているフランス。だが、9.11のショックと欧州統合の進展は白人中心のヨーロッパの伝統に立ち返ろうという欲求を生み出しているようだ。西洋の声楽はローマ・カトリックと共に発展してきたが、本作にはそういったキリスト教の伝統に回帰しようという製作者の意図も透けて見える。先に公開された「アドルフの画集」や「永遠の語らい」でも感じられたこうした政治的な意図はとりあえず甘受するにしても、寄宿学校の子供たちが“心変わり”する過程の描写が不十分だったり、ひねりのない半端な結末には不満が残る。個人的には好きな素材なのだが……。同じプロデューサーが製作しているせいか、ベタなノスタルジーを楽曲の良さで引っ張る手法は名作「ニュー・シネマ・パラダイス」と同じパターン。フランス映画をこんなに平板で退屈なものにしてしまうのだから、勢いだけの欧州統合というのは考えものかもしれない。
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