犬のようにただただ主人へ従属することだけが生きている証だった男が、飼い主の手にこれでもかとばかりに噛みついた理由はたったひとつ――「なぜこんなことを？」

彼女への愛でもなく、主人への憎しみでもなく、ただ、はじめて受けた制裁に対する驚きと落胆。「なぜこんなことを？いくら考えても理由がわからない。」…これがまた犬っぽくていいじゃないですか。

ヒスとの間にびっくりするほど何もないところも大変よろしいなあ。もうむしろ、末期の回想シーンすら邪魔なほど。

多分これは作り手の意図した結果というより、まぐれ当たりじゃないかという気がします。たまたま、わたしのツボにジャストミート。

（05.07.02＠テアトル梅田）