[コメント] ウィスキー(2004/ウルグアイ=アルゼンチン=独=スペイン)
エルマンという闖入者によって変わっていくハコボとマルタ。しかしハコボ自身がそれに気づかなかったのが、マルタにとっての悲劇であろう。[シネ・アミューズ・イースト]
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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すべての芝居が終わった夜、ハコボから金の包みを受け取り、タクシーの中で涙を流すマルタ。
あれは、芝居に協力した礼として受け取ったものが金であったがゆえの涙ではないと思う。彼女が包みを開けて、中身が金であることを確認するシーンはない。それ以前に、謝礼を渡されて、ハイこの件は終わり、とされてしまったのが悲しくて、あるいは悔しくて、彼女は泣いたのだろう。
明らかに彼女は違う“謝礼”を期待していた。それは例えば、洒落たレストランに誘うとか、改めて二人でどこかに旅行に行くとか。もっと言うなら、芝居を芝居で終わらせてほしくなかったはずだ。
だが、その期待は裏切られた。見たところ初老に近いと言ってもいいマルタ、もしかするとこれが人生で最後のロマンスのチャンスと思っていたかも知れない。ラストで彼女は工場を欠勤するが、仕事を休んでどうしているのか。まさかとは思うが、思い詰めてとんでもないことになっていたりしないことを祈る。いや、かなり真面目に。
本作に対して「南米のカウリスマキ」と評する向きもあるようだ。カウリスマキらしい暗さと言えばその通りかもしれないが、もしその“らしさ”が本物なら、次は「カウリスマキらしい明るさ」も見てみたいものだ。
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