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[コメント] バタフライ・エフェクト(2004/米)

現代的な映画を創ろうと必死なプロダクションの思惑が垣間見えてSO-SOな作品
junojuna

 見せるツボはひじょうによく心得ているため、一見知的な作風に丸めこんでしまおうという悪意が垣間見える作品である。確かに面白く見せる工夫はひとつの映画技術なのであるから、その点については、演出の技量は高度であるといえるのだが、何を語り何を伝えるのかという作品の根底を下支えするコンセプトについては、ディレクションのチープな世界観が露呈してしまって、技術偏重の拙き映画表現となっていた。中盤まではその謎解きの持つミステリアスなムードがとてもよく映画の味付けとなって旨みを醸し出すのに手伝っていたが、中盤からの「ifもしも」的なひところは流行りもしたが今は古めかしくて誰もやりはしないだろう「トラウマもの」の種明かしは、順風に転がしてきたストーリーの興を大きく削ぐこととなって甚だ白々しい。曲がりなりにも人文科学的精神世界をモチーフとするならば、「神秘性」もしくは「批評的」な視座が欲しかった。勝手な物語を語るためのドラマエンジンとして援用するなどその手管はどこか姑息である。

(評価:★3)

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