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[コメント] クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃(2005/日)

特撮ファンだからこそ応援したくなる話である一方、特撮ファンだからこそ許せない作品であることは確か。良い所もあるんだけどねえ。ブリブリザエモンとか。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 特撮ファンとしては、この映画はかなり複雑な思いにさせられる。

 クレしんシリーズ第13弾である本作は、様々なチャレンジ魂に溢れていた作品であることは認められる。そのものズバリ題材を特撮に持ってきたことで、久々の特撮ブームとなった2005年の子供の心を掴み、一緒に映画館に向かったお父さんやお母さんに昔を思い出してもらう。ついでにいい歳して「特撮特撮」と騒ぐオトナを…(誰の事やら)  素材の取り方は大変面白いと思うのだ。それにこの物語の構成は特撮映画ではなく、TV特撮であることも面白い。TVヒーローの物語は時間が長く取れるのと、多くの怪人なり怪獣なりを出せることが強みで、主人公の位置づけも、最初の戸惑いから中期の安定期に。そして敵のパワーアップに合わせて自分自身もパワーアップする。極端に強い最後の敵に特攻覚悟で突っ込んでいく…というTV特撮のフォーマットは見事につぎ込んでいる。1時間半という時間枠でバランスも良い。

 ただ、それが評価できるか?と言うと別物。残念ながらこれはその素材を取ってしまった時点で失敗と言ってしまっても良い。

 TV特撮には確かにパターンがあるが、そのパターンが有効なのは、結局の話、その長さにこそある。長いからこそ思い入れが生じ、たとえパターンにはまっていたとしても、それを楽しむことが出来る。対して僅か1時間半では「ああ、これは特撮のパターンだ」としか思えない。要するに本作は特撮の戯画的なパロディでしかない。怪獣を多く出すことによって話はぶつ切りに分断され、ミニエピソードの繰り返しでしか無くなってしまった。

 後半このシリーズ特有の家族愛ドラマへと持っていき、着地も決して悪くはないのだが、残念ながら設定の面で大きな間違いを犯していた事自体が問題。

 あ、そうそう。一つだけ本作で褒めてやりたい所があった。ブリブリザエモンの声優を変えなかったこと。これだけは評価すべきだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ダリア[*]

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