[コメント] クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃(2005/日)
『ドラえもん』化のことを言うのなら、キャラクターの「いい子」扱いと無理矢理な感動が添えられることこそを問題にすべきではないか。名作である『オトナ帝国の逆襲』『アッパレ!戦国大合戦』がそうだったからといって、真摯な主人公と余韻をひく感動が必ずしも用意されるべきではない。
「泣けない」クレしん。大いに結構。これが本来の俗悪アニメの姿ではないか。チンチンとお尻を丸出しにして飛び回り、イカスお姉さんはみんな大好きで、子供らしいのはヒーロー願望くらい。そんなしんちゃんを久しぶりに見て(失礼。TV版は見てないのだ)ああ、これこそしんちゃんだな、と思った。こまわり君やまことちゃんタイプのトラブルメーカーが周囲をかき回す漫画だ。
「オトナ帝国」は昭和ブームのひとつの先駆けになり、あるいは『ALWAYS 三丁目の夕日』の母体となったと言えるかも知れない。だが、そうであるならその事実だけを誇っていればいいことだ。文部省後援を誇るようにお行儀のいい漫画に成り下がったなら、その時はクレしんにはほんとに「切腹!」してもらいたい。マニアックでない怪獣、ギター侍(この男を俺が好かないことはこの際関係がないことだ)、上等である。彼らはのはら家の引き立て役に過ぎないのだから。のはら家のクローズアップは、この作品が立派にして稀有なプログラムピクチャーであることを示している。そうであればこそ、この作品がどちらに向いて走ってゆくか予想がつかないというものだ。
いい加減、映画ファンとクレしんの一時の蜜月を懐かしがるのはやめよう。またクレしんがその方向に向け走ってくる可能性はなきにしもあらずだが、忘れてならないのは『クレヨンしんちゃん』はギャグ漫画であり、しんのすけはその主人公であるということだ。
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