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[コメント] 略称・連続射殺魔(1969/日)

高木元輝のフリーキーなサックスは見たもの全てを爆破せよと急き立ててやまない。その後の永山則夫の贖罪とまるで関係のない時代の気分。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







撮影や編集に才覚は感じられず、比べれば土本は上手いものだと思わされる。一箇所だけ音楽が消え、倍速でフロントガラスから路上が延々写されるショットが印象的(ここだけ覚えていた)なのだが、全体の調子からは浮いている。全く入れないか、入れるなら同様のギミックをあと30ほど放り込むべきだ。その他、向日葵や風車の思わせぶりな使い方など、どうにも思いつきで撮っているように見えてしまうのがいけない。

さらに監督のナレーションが下手でいけない。全部字幕にすべきだったし、もっと詳細に述べるべきだ。例えばタクシー運転手が写されるのは彼等が被害に合ったからだが、知らないと何のことやら判らない。客観性を旨とする方法論は判らんではないが、情報まで欠落しては仕方がない。子供の頃ネグレクトを受けてゴミ箱あさったという有名な逸話などが欠けているのは、当時その情報がなかったからだろうか。

永山が見た光景の記録というスタンスも、特に幼少期の北海道や青森など、時代の経過が無視されており微妙。普請中の大阪万博や新宿デモに備える警備隊、『男はつらいよ』のポスターなども永山視線とは関係ないだろうが、単純な記録として見ればいろいろ面白い。個人的には名古屋駅西口のドヤ街振りが興味深かった。

(評価:★3)

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