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[コメント] ワン・プラス・ワン(1968/英)

これも、なんて綺麗な映画だろう。撮影が際立つ映画。絶対映画的に見るのなら、撮影だけで充分面白い。
ゑぎ

 スタジオでの練習、録音風景の部分も、メンバーの衣装、パーテションの色調など、色遣いがメチャ綺麗なのだ。そこを緩やかな移動撮影で撮った画面に陶然となる。メンバーよりもパーテションを映したいのかと思われるショットも多いけれど。

 このスタジオ場面が基本にあって、そこに、様々なシーンが脈略なく挿入される。雑誌やパルプ小説ばかりの本屋のシーン。街中の壁や自動車のボディに、落書きするショットの挿入などなど。これらの中では、2回ある、川の近くの廃車置き場、スクラップ工場における黒人たちのシーンと、緑の生い茂る林の中でのアンヌ・ヴィアゼムスキーへのインタビューシーンは、特筆すべき移動撮影のシーケンスショットで構成されている。黒人たちの場面のショットの強さも凄いけれど、ヴィアゼムスキーの場面は、本作の一番のチャームポイントだと思う。

 終盤のスタジオ風景では、クレーン移動みたいなダイナミックな高低の動きも出て来る。そして、ラストの浜辺の撮影風景。白い衣装の女性が血まみれになりながら、砂浜を走る。これはヴィアゼムスキーだったのか。彼女は、クレーンのアームのカメラ横に倒れ、そのアームが上昇するのを仰角でおさめたショット。赤と黒の旗がはためく。このラストも圧巻。しびれる。

 ナレーションで、政治的かつ卑猥なスクリプトが読み上げられる部分に関しては、本当はこれを聞いて欲しいのかも知れないが、こんなのは、半分以上真面目に考えなくていいと私は思う。

#終盤のスタジオ場面では、コーラスメンバとしてマリアンヌ・フェイスフルアニタ・パレンバーグが映っていたらしい。判別できなかったが。

(評価:★4)

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