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[コメント] 英雄十三傑(1970/香港)

 天下への道。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 彼らには才能があった。父王の庇護のもと、大勢の軍隊を操ることもできた。進むべき道も見えていた。その道の果てにあるのは皇帝の首であったはずだった。

 しかし、彼らの前にその道が見えたのはほんの一瞬。矢を放ちながらもそれは外れ、道は閉ざされ、二度と現れない。これ以降の彼らは“天下を取る”という大きな争いから、“兄弟の王になる”という小さな争いへと転換する。そうなってしまったというべきなのかもしれないけれども。目的が変わり、それが果たされてしまったあと、もう一度本来の目標に近づこうとしても、被害はあまりに大きい。

 あの広い中国の、あらゆる民族を統一するということ、その困難さ。敬思や存孝ほどの人物でもそれは叶わず、それ以前の小さな争いの前に倒れてしまった。勝ち続けること、それは才能だけではなく、大勢の軍隊だけでなく、あらゆるものが揃っていなければならない。天下への道はそれほどまでに遠い。

 それにしても邦題が『英雄十三傑』とはなんて皮肉な。真の英雄はここにはいない。この映画には“英雄になり損ねた者たち”がいるだけなのだ。

(評価:★5)

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