[コメント] 空を飛んだオッチ(2005/日)
木登り、虫取り、川遊び・・・。こんな「田舎の夏休み」をフィルムにしっかりと残した佳品。
紋切型のストーリーや稚拙な合成映像には多少目をつぶる必要があるが、こうした作品が作られ、残されていく意義は大きい。
飛騨地方でのオールロケによる映像は、今でもこんな自然が残されているんだという感動を与えてくれる。また、とかくセキュリティだプライバシーだと人間関係をぎすぎすさせるような共同体意識しか作られていない現在において、良きにせよ悪しきにせよ、ともに生きていくという共同体の姿が描かれていることはいまや貴重ですらある。
2005年はテアトル新宿で朝一度の上映であったが、出演者の家族をはじめ、多くの観客がこの作品を見て、そして感動していたように思う。法的には、プライバシーは尊重されなければならない。社会生活的には、家に施錠ぐらいしたほうが良いかもしれない。だけれども、他人との干渉をできうる限り避け、ふらりと縁側に腰掛けてお茶の一杯も飲めなくなったいま、その失われたものの大きさに暗い思いになるばかりである。
倍賞千恵子が田舎のおばあにすっかりなり切っていて、かつ雑味なく演じていたことに驚嘆した。新人の嶋田奏子も一所懸命さが伝わり、好感を持った。
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