[コメント] 君たちのことは忘れない(1977/露)
反戦映画なのか戦意を鼓舞する映画なのか、どっちともつかないので評価に困る。やや辛く、★3。[三百人劇場]
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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戦争に行き、負傷しつつも無事に戻ってきた兄・ステパンと、母親マトリョーナに溺愛されるあまり兄のようになれなかった弟・ミーチャの対照的な人生。盲目的にミーチャをかばおうとするマトリョーナのおかげで、周囲の人々はとんだとばっちりを受ける。ステパンは恋人のニーナを失い、おまけにようやく帰ってきた家からも追い出されてしまう。ニーナも他の男と結婚するよう仕向けられるのだから、ずいぶん可哀想だ。
すべてはミーチャのためによかれと思ってやったこと。しかしその結果、ミーチャは戦争の終わった村の中で行き場を失い、一方で堅実な人生を歩んでいるステパンは、一応は幸せな結婚をして子どもももうけた。どちらが人生に成功しているかは明らかである。結局は、母親の愛情は息子の人生をスポイルしてしまっただけなのだった。
こういうストーリーと対峙すると、見ようによっては「だから兄貴のように真面目に戦争に行って、国のために尽くしていればよかったのだ」という主張のようにも取れなくもない。息子を戦争にやりたくない母親の話のはずが、戦争から逃げていたためにその後の人生を棒に振った息子の話になってしまうのである。何事もやり過ぎると逆効果、という好例であろう。
とは言え、戦争から戻ってきたステパンとニーナが町のパン屋で再会するシーン(ステパンを見送った後、ニーナが仕事をしながら涙をこぼすのにはぐっときた)など、随所にいいところもあったので、この点数。
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