[コメント] 君たちのことは忘れない(1977/露)
もう一つの『誓いの休暇』。もう一つの選択肢。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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自ら最悪の結末を辿る母子を、同情的に描くならまだしも、愚かで罪深いと、言い切ってしまう結末に、私は酷く裏切られた気がした。英雄論と反戦論、『誓いの休暇』では見事にせめぎあった二つの価値観が、今回は私の気にいらない側に、傾倒しきってしまった。『清作の妻』を愛する私である。
それと、兄弟に囲む若い女達の無個性さと、弟の徴兵拒否以前の性格描写の不足が気になる。誰が誰やら判らない、というよりは、誰が何処に嫁ごうが、何の感も沸かないのだ。『誓いの休暇』のマジックは今回は生まれなかったようである。シネマスコープ、カラーの画面からも、かの代表作のような映像的インパクトも、殆ど味わうことが出来ず仕舞。無念である。
良いところもあるのだが。愛し合うべき、愛し合えるはずの家族や村人達が、戦争によっていがみ、傷つけあう、その切なさ、やるせなさ、遠くから見渡せばそれは、ギリシア彫刻が如き精巧な古典悲劇である。母役ノンナ・モルジュコーワの演技、迫力は申し分なく、序盤、砲火と母の叫びによるオペラ的高揚演出も、中々のものだった。音楽についても、ロシアンクラシックを知らない私には、芥川也寸志に近しく聞え、雪原の風情と相俟って、臭いながらに好ましく思えたものだ。
しかしながら、やはり全般的に振り返ってこれは、大失望作である。
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