原作未読。前知識もほとんどナシ(宮崎あおいがイマイチ可愛く撮れてないという話を聞きかじった位)。そんな状態で観たので、これは『下妻物語』ばりのブ厚い友情物語なのか！･･･と、思いっきり勘違いしてブ厚い期待を抱いた自分が悪かったのかも。しかし正直なトコロ、桃子とイチゴの友情には異性の自分でも羨望すら覚えたけど、ナナと奈々の関係には「･･･ああ、よかったね。」と他人事のように声を掛けることしかできない感じでした。･･･って、言ってる先からまた比べてしまった。スミマセン。

そもそも、奈々がある程度等身大なキャラ付けをされているクセして、ナナはどこまでも少女マンガの住人にしか見えないトコロからしてバランス悪過ぎ。まあいわゆる女性の目から見て｢カッコイー！｣と言いたくなるようなキャラとしてナナが描かれ、その偶像チックなナナに見た目の可愛さ以外はコレと言って突出してない奈々が｢なぜか｣気に入られる。この｢なぜか｣な部分が女の子に夢を抱かせるのでしょうか･･･(でもここでのコメントを読む限りでは、原作の奈々はキャラ違うみたいですね)。

甘崎庵さんと同感で、(ナナばかりではなく)奈々をとりまく世界が徹頭徹尾少女マンガテイスト。で、しかも少女の「女」の部分がより濃厚に漂ってたりもする。彼氏と二股のカノジョとの修羅場を偶然見ちゃってさーとか、入った職場の上司がエロいオヤヂで、しかもお局には毎日チクチクイヤミ言われてさーとか。こう言葉にすると、まあ確かに女性同士のネタとしてはありがちでリアルなのかもしれないけど、あまりに下世話感が強くて正直ついてくのがシンドかったです･･･。まあ例の修羅場でナナに詰め寄られる女の子を、決してナナと目を合わせずあくまで背を向けて庇う元カレの姿なんかは、｢ああこの男がとりそうな態度だ｣と妙にリアルに感じられもした。けど、どうでもいい男のそんなトコロばっかリアルに描かれてもねぇ･･･。

画面の貧相さに目をつむったとして(実際物語が良ければその点には多少甘いです)、ライブシーンの情けなさにも目をつむったとして(つむらなければ何も始まらないかと)、それでも映画の核になるナナと奈々の関係が、この程度のヌルい描かれ方しかされてないと、正直どこを観て良いのやら分かりません。全く違う二人が大した衝突もせずに何となく惹かれあっていく、なんてノリを観ても自分にはこれと言って何の実感も湧きません。

(2006/12/11)