[コメント] 旅役者(1940/日)
矜持の一端で、馬の研究も怠らない。農耕馬の、ひ腹の向こうに二人を映したカットなんかは、馬が完全無欠にフレームに収まっている、素晴らしいカットだ。あるいは、馬の脚のカットから素早くディルトアップして、藤原のバストショットに繋ぐ、というような楽しいこともやるし、クレーンを使った上昇移動の屋外ショットも2回あり、成瀬の自由闊達さがよく出ている。
極めつけはラストの展開で、こんな状況で終わってしまうなんて信じられない!誰も予想できない常軌を逸したシュールなエンディング。もしかしたら、これもヤケクソだったのかも知れないが、これはこれで、決して尻切れトンボではないし、ある種の落ち着きの良さも伴った、奇跡的な演出ではないか。
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