[コメント] 蝉しぐれ(2005/日)
自分映画史の中で五本の指に入るラブシーンでした。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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子役の石田卓哉と佐津川愛美が父の遺体を乗せた荷車を押して坂を上がる場面。 真夏の最中に往来を通り、田んぼのあぜ道を必死に運んで来た文四郎は、とうとう坂の前で精根尽きてしまう。そこにかげろうに揺らぐふくの姿。このシーンにセリフはない。ただ少女が坂を下りてきて、遺体に手を合わせて、荷車を押そうとする。そして少年と少女が力を合わせて坂を上がっていくのだ。
少女は想いを寄せる彼のお父さんが死んでしまい、涙を浮かべている。しかしこれはその死に対する直接的な悲しみではなく、その父の躯をたった一人で運んで来た彼に、、彼が背負った悲しみに想いを寄せて涙を浮かべている。何も声はかけられず、自分も必死に荷車を押す手伝いをする。少年もそんな彼女に特別に話しかけることもなく、また荷車を押し始める。少女の想い。少年の表情。人を思いやるっていうのはこういうもんなんだと思った。 そして、この無言のやりとりと荷車を押す二人の汗ばんだ表情が、私には異様にエロティックに観えてしまったのだ。 ここ最近で観た一番美しくて官能的なラブシーンだと思う。(09'12 DVD)
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