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[コメント] スクラップ・ヘブン(2005/日)

黒沢清を少し明るくした、というのが私のこの映画に対する感想です。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







脚本を自ら操る李相日監督のイケてる部分は大きく評価いたします。

確かにすばらしい作品。見事です。

この映画の主人公三人はいずれも治癒することを目的として生きています。

警察、薬剤師、トイレ掃除。

いずれも汚れた(あるいは病気)ものを治癒する役目ですよね。

それがバスジャックに遭遇した瞬間から、目的が復習に変化するんですね。

私はどうもこの辺の飛躍を理解できませんで、治癒することと復習することにどういう因果関係が存在するのか、これがどうもこの映画がしっくりこない原因になっているような気がするんですよね。

特にラスト。

何もかもを壊す(爆発)させようかどうか悩む警察が、爆弾を宙に投げますね。

この一瞬でお話は終わっているはずなんです。

でもその先の陳腐な結末。トラックに爆弾が乗ったまま去ってゆくシーンが面白くないんですよね。予定調和に終わっています。

これだけハチャメチャな展開を重ねたわけですから、原作を超越したもっと別の世界が現れてもよかったかなーと少し残念な気がするエンディングでした。

映画の表現方法は黒沢清監督を意識させる面を兼ね備えつつ、結構真面目な側面とお笑いの要素を織り交ぜつつ、見事なつくりになっていることを念頭に置きながら、前作『69』のような破壊力に欠け、後の大ヒット作『フラガール』のような躍動感もない、不思議な映画ですね。

2010/06/18 自宅

(評価:★3)

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