チョルス（チョン・ウソン）は、耐震偽装や手抜き工事を見抜く目を持っていますね。それに建設工事という自分の仕事に関してはプライドが高い。

さて私は『ラブストーリー』以来、泣きのソン・イェジンのファンです。『四月の雪』では泣きの演技は抑え気味でしたが、本作では彼女の十八番が炸裂しています。特にアルツハイマー病と宣告されて、街中で号泣してしまうシーンはリアル過ぎて涙を誘います。癌も嫌だが、認知症が一番なりたくない病気と言えるでしょう。

しかし、ソン・イェジンもしくは監督はじめ製作側にガッカリさせられたのは、病気の進行が性急だった事と、ソン・イェジンが演技だけで聡明な顔付きだったことです。認知症ならば目が死んでいるはずです。演技上目がギラギラしまくって違和感を覚えます。

ここは悪い意味ではなく成りきり演技（偽装）して、死んだ目で演ずるべきだったのです。

・・・この作品を観た後で、日本の身障者映画の代表格でもある『１リットルの涙』を観ました。この映画では、亜也を演じた大西麻恵はまさに「脊髄小脳変性症」による障害を体を張って演じていました。

韓国は障害者に対する社会的対応が相当遅れているそうです。なにせ、ソウル五輪の後パラリンピックを放映するとＴＶ局に「気持ちの悪いモノを流すな！」と抗議も来たそうで、そういう意味を含めて、単にキレイな障害者モノを流したかった意図が見え隠れします。

アルツハイマーの役ならば死んだ目で偽装（演技）「姉歯せよソン・イェジン！」