[コメント] ALWAYS 三丁目の夕日(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
吉岡君が出ているついでで『北の国から』を引き合いに出すと、あの作品って子供の視点から大人の世界を捉えていた。
そこが大きく違う。
そういう風に作ってもらいたいと、エンドロールを観ながら思った。
この作品は物事を大人の目からしか捉えておらず、「子供は映すけどただ映して演技させているだけ」としか俺の目には映らなかった。
だからこのフィルムの中の世界が薄っぺらなものにしか感じない。
まさにCGで作られたバーチャル体験アトラクションみたいな。
うちの近くにある新横浜ラーメン博物館のような現実味のない町並みと夕日だ。
ラストシーン、夕日見ながら子供がしっかりしたまとめの言葉を言う。
まるで大人が言うことじゃないかと思って白々しく響いた。
そう、この映画の大人は子供みたいで、子供は大人びてんだよな、なんだろコレ。
<おじさんと子供の別離・再会シーンについて>
ヤマ場ですね。 本当の父親が現れて子供を引き取る。 嫌な感じのオトナだ。 しかし何の抵抗もなく「よろしくお願いします」と送り出す大人。
その後でいきなりキレて暴れる大人
自分で判断して託したんでしょ。本当なら駆け出したって何にも取り返しなんかつかないのに駆け出す大人。心情はわかる。でも考えれば支離滅裂な行動だ。そして身勝手だ。子供の気持ちなんて、全然考えてない。なぜ駆け出したの?急に寂しくなったから?子供が自分を大切に思っているのにやっと気付いたから?どっちの理由も嫌だよ。
自分は何もせず子供送り出したじゃないか。それがいいと思ったんだろ?それでいいと思ったんだろ?じゃぁしょうがないね、悲しいけどしょうがない大人だね
そんな大人を救ってくれるのは子供
そこに居る筈のない子供
そこに奇跡のように居てくれる子供
それで救われた大人
そのくせに今度は「拾ってきた犬を突き返すように」突き放そうとするわけのワカラナイオトナの振舞い。あぁ鈴木社長が言ってたが、残念だが確かにこいつはダメ人間だ。
この演出は俺にとって最低に映った。
子供はペットや捨て犬じゃないんだ。自分の感情や都合で飼ったり捨てたりしてんじゃないよ。
それでも健気に頑張る子供 子供エライ ホント健気
何に泣けばいいんだろうかわからない。
俺は子供の気持ちになって泣きたかった。
でもさ、車が走り出してから子供が泣き出したあと吉岡君ばっか映すじゃん。
子供映さないじゃん。
ここが俺的にはダメだよ。
ダメ人間の大人はどうでもいいからさ、泣き出す健気な子供をカメラはずっと捉えててよ。。。
〜俺の理想的な展開を言うと、
車の中で泣き出して、どうしょうもなくて信号待ちのときに車を飛び出しちゃう。 でも、戻っておじさんは迎えてくれるか不安になる。 自分は厄介モノじゃないのか?戻ったら迷惑なんじゃないか? おじさんは言ってた、オマエとは血のつながりなんか無いって 不安な子供、でも足は止まらない。 自然と涙が溢れてくる。その霞んだ景色の中におじさんの背中。 何でこんなトコにおじさん居るんだろ?と思いながらも駆け寄る子供 気付いて振り返る大人の砂で汚れた顔に涙の流れた跡。 そして手には手紙がギュッと握り締められている。 あぁおじさんも寂しく思ってくれたんだね、僕の気持ちわかってくれたんだ! 黙って抱き合う二人。
実家からの手紙もさ、そのタイミングまで出さないのおかしいよ。
高校出て親元遠く離れて働いている子が、家族の話しなかったらなんかあるって感じるのが当たり前だろ。現に「帰る家なんてないんです」ってはなっからいってんジャン。その振りがあって、でも手紙が毎月来てたんだろ?だったら六がどんな気持ちなのかわかりそうなものなのに。そんな気持ちを一年間放置プレイでいきなり切符買ってくるとは、なんて鈍くって残念なオトナたちなんだいとしか思えなかった。
これじゃぁまるで、最後の最後に手紙の存在明かして泣かせるために、今の今まで手紙を隠してましたとしか思えないぞ。
この映画に仕掛けや演出じゃない本当のやさしさを一生懸命探してみた。
でも全部作り物っぽくてどこにも本当のやさしさが見つからなかったんだ。
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