[コメント] 倫落の女の日記(1929/独)
かなり通俗的なプロット展開だし、『パンドラの箱』のような突出した画面も見いだせないので、G・W・パプストとしては中程度の作品だと思うのだが、それでも、ルイーズ・ブルックスを愛でることを主眼として見るならば、実に楽しめる映画であることも確かだ。
演出という部分で云うと、冒頭シーケンスが一番面白かった。大きなガラス窓のあるドア。カーテンの向こうに人の影。ブルックスがバストショットで、いきなり登場する繋ぎにドキリとさせられる。このオープニングの部屋が、二階と分かる見せ方にも驚く。階段を駈け下りるブルックス。一階にはカウンターがあり、最初、酒場かと思ったが、白衣の男もいることから、薬局だと分かる。このように、建物の階段や居室のドア等を面白く見せるのだ。
中盤後半も、ブルックスは感化院で虐められたり、売春婦(というようりも、パーティ・ピープルという感じ)になったり、伯爵夫人になったりと、彼女の見せ場は目白押しだが、プロット同様、演出も俗っぽくなり、概ね厳しさに欠ける。ただし、エンディングは一筋縄ではいかない複雑なもので、パブストの面目を保った感がある。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。