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[コメント] 蜘蛛巣城(1957/日)

「死ぬかも…!」と思いながら演じたかも知れない三船敏郎さんが監督を恨む気持ちも分かるが、それを分かっていながらも三船に演じさせた黒澤明監督の気持ちもものすごい分かる。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







DVDジャケからして若干ネタバレ臭が漂っているし、この映画の弓のシーンは圧巻だとかそういう話もよく耳にするし、ある程度その心積もりで見たにもかかわらず。

頭のてっぺんから足の先まで全身鳥肌でぞわ〜っとなって、涙目。今の時代、CG使って中国のあの映画みたいにもっとすごい沢山の矢が飛んで来てもっとすごい迫力の映像は撮れると思う。でもこれはイカンよ。三船さんの顔がもう完全にイッちゃってるんだもん。この作品のせいで三船さんが酔った勢いで「黒澤のバカヤロー!」と言いながら黒澤さん家のガラスを全部割ったとか色んな逸話が残っているみたいですけど(窓ガラスを割った事以外は本当らしい。「映画を愛した二人」という本に書いてあった)、マジでそうしたくなる気持ちは分かるってくらい壮絶なシーンでした。

でも本当に本当に!真面目で実力のある武将の表情から、とり憑かれたような病的な表情まで見事演じきる三船さんは凄すぎる。だからどんな事でも三船にさせてみたいって思う黒澤さんの気持ちもよく分かるんだよなぁ!ごめんね、三船さん。でも本当なんだよ。

それから森が動くあのシーンも一体どれだけの人がどれだけ苦労してあの動きを体現させたのかそれがものすごく気になりました。

しかし千秋実さんの旗や背中に描かれたうさぎがなんだか弱々しくて可愛かった。三船のムカデ(?)とあまりに違いすぎる。

あとね、能を見たくなったし、前から考えていた弓道もやっぱりどうしても習いたくなった。マジで弓道習おうかな。

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08.10.03 記

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で、結局弓道を習い始めたのですが、弓道というものを経験した上で改めて見直してみると、これは非常に危険極まりない撮影で、三船ちゃんが極限状態に追い詰められたという事がよく分かります。スゴイとかいう気持ちじゃなくて、恐怖。じっとりと手のひらが汗ばみました。これは本当にヤバい。今の時代同じ状態で同じ画を撮ろうとしても、絶対どこかしらが禁止するんじゃないかって思います。人に向けて矢を放つなんて・・・いくら達人でもやっぱりビビると思うし、いくら左右に矢がズレて放たれるといっても、その側にいるのは怖い。実際すごい勢いだしすごい音だし、当たり前だけど、本当危ない!!!改めて見直してみて、この作品の特異性を思い知りました。三船ちゃん、他の作品とか明らかに表情が違うもの。こんな表情をしている三船ちゃんは他のどの作品を見たって滅多に見られるものじゃない。三船ちゃん、よくやったよ本当。信じられないわ。黒澤さんも信じられないけどね。

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09.11.18追記(09.11.17DVD再鑑賞)

(評価:★4)

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