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[コメント] 若者のすべて(1960/仏=伊)

中盤以降、どんどん、アニー・ジラルドアラン・ドロンの映画という様相を呈してくる。つまり、どんどんメロドラマになる。最終章(ルーカの章)の家族(兄弟)全員が集まった場面の修羅場のシーンなんて、皆、泣き叫んで、嫌なシーンだ。
ゑぎ

 本作もプロット展開を緩やかに広げる前半部はいい。駅の停車場の柵や屋根、街中の塀などで見られる格子のモチーフ。だだっ広い街路や建築現場の敷地といった開かれた空間の描写。ジュゼッペ・ロトゥンノの撮影はクレーン移動やパンニングを使ってよく見せている。撮影で一番驚いたのは、冒頭の、家族がミラノに到着後、バスに乗って移動する、そのバスの中の照明だ。昼間みたいな贅沢な照明なのだ。あるいは、ドロンのボクシング練習シーンで出てくる、公園の場面での濃霧の表現にも瞠目する。

 しかし、やはり、クライマックスというべきは、ドロンのボクシングの試合にクロスカッティングされる、レナート・サルヴァトーリ(シモーネ)とジラルドの夜の公園(水辺)のシーンだろう。ただし、こゝで挿入される試合のシーンもそうだが、全般にボクシングのファイトシーンは、イマイチ迫力がない。

(評価:★3)

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