[コメント] 熊座の淡き星影(1965/伊=仏)
画面造型の美しさは全フィルモグラフィ中でもかなり高位だろう。水面と螺旋階段を使った地下室のシーンもいいが、嵐のように常に風が吹き荒れる屋外シーンが圧倒的。ラストショットの大樹にも魂揺すぶられた。カルディナーレのギリシア・ローマ神話的な”下品な気高さ”も満帆。
ヴィスコンティ自身はこれを「唯一のミステリ」と定義していたようだが、「秘密」をテーマに据えているというだけで、余り意味の無いカテゴライズだ。サスペンスや意外性であればケイン原作の『郵便配達は二度ベルを鳴らす』や『イノセント』での方がより多く味わえるし、むしろこれは張り詰めた張感感と神話的な美しさに酔い痴れる一直線のメロドラマだ。
冒頭の、近景がボケる程に加速された移動撮影が印象的。目を傷めないためには遠くの山々を見つめることだ。ヴィスコンティの焦点は、今回もやはり遥か遠景に合わさっている。それは嵐のような過去だ。
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