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[コメント] 薔薇のスタビスキー(1974/仏=伊)

傑作。今作のアラン・レネには感心した。今まで敬して遠ざけていた(つまり敬遠していた)ことを反省。まず、矢張りこの知的なカッティングには驚いた。例えばオフのモノローグ(独白)の使い方には舌を巻く。ある人物が喋り始めた後、画面は全然別の人物の行動を繋いで行く、と云った編集が実にスリルの醸成に機能している。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 また、効果的なフラッシュフォワードも多々ある。そもそも本作は法廷(調査委員会)のシーンとスタビスキーやトロツキーを描いたシーンの二重構造になっているのだが、単なる回想形式ではなく、前半の法廷証言シーン(フランソワ・ペリエミッシェル・ロンズデールのバストショット)はフラッシュ・フォワードとみなすべきで、近作の『ソーシャル・ネットワーク』なんかと同類のカッティングと云えるのだ。また、スタビスキーの棺を運ぶカットなどは純粋なフラッシュ・フォワードだ。そして素晴らしい端正な撮影、美しい色遣い。特に緑の美しさには瞠目する。撮影はサッシャ・ヴィエルニで『夜と霧』『二十四時間の情事』の頃からのレネの盟友。もう揺ぎ無い安定感。ため息が出るようなカットの連続だ。

(評価:★5)

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